不動産投資をしていると、「少しでも収益性を高めたい」というのは誰もが感じる悩みです。私も例外ではありません。そんな中で、思わぬ副収入源として浮上したのが「自動販売機の設置」でした。
2024年に購入した2棟目の物件(木造アパート8戸)には、もともと敷地内に自販機が設置されており、売上がそこそこあると聞いていたため、そのまま契約を引き継ぐ形でスタートしました。今回はその実体験を通じて、自販機設置のメリットとデメリット、収支のリアルについて、私の経験をベースに幅広く解説していきます。
自販機設置の収入形態とは?【固定収入 vs 変動収入】
自販機を設置する場合、収入の契約形態は大きく分けて以下の2つに分かれます。
- 月額固定収入型
あらかじめ決められた一定額が毎月オーナーに支払われる契約。安定感があるが、売上が多くても収入は増えない。 - 売上変動収入型(マージン制)
売上に応じて収入が変動する。たとえば、売上の15%〜20%が収入になる仕組み。好立地や高稼働が見込める場合はこちらの方が有利。
私の物件は購入当初、固定収入型で月に数千円の収入が発生していました。しかし、自販機メーカーに問い合わせてみると「立地的にそこそこ売れているので、変動収入型の方が収益性が高くなる可能性がある」とのこと。試算してみたところ、確かに変動型の方が数千円は上乗せできそうだったので、思い切って変更しました。
実際の収益は?【月によって大きく変動】
売上は夏場がピークで、冬場はかなり落ち込む傾向があることが分かりました。特に冷たい飲み物の需要が高まる7〜9月は、マージンベースで月5,000円程度の収入が見込めました。一方で、1月〜2月の寒い時期には売上が激減し、収入は月1,000円を下回ることも。
ここで注意すべきは「電気代」です。冷蔵・加温を常に行う自販機は、意外に電気を食います。私の物件では、1台あたりの電気代が月1,500〜2,000円程度かかっていました。
つまり、売上が少ない月は「収入<電気代」となり、実質赤字になる月もあるという現実。特に冬は冷暖房機能をフル活用するため、電気代も跳ね上がります。
想定外のトラブルも!自販機ならではのリスク
自販機には「勝手にお金を生む箱」のような印象もあるかもしれませんが、意外とトラブルもあります。
私の物件では、ある月に自販機のシステム不具合が発生し、1週間近く稼働しないというトラブルがありました。当然、その間の収益はゼロ。しかも復旧までの間、メーカーとのやり取りや入居者からの問い合わせ対応に時間を取られる羽目になりました。
こういった突発的なトラブルは「完全放置で副収入」というイメージとはほど遠く、ある程度の管理負担も覚悟する必要があります。
景観・衛生面のデメリットも軽視できない
自販機設置の副作用として、私が一番頭を悩ませたのが景観とゴミの問題です。
自販機を設置すると、その周囲にゴミ箱も置かれることが一般的ですが、実際は住民以外の通行人がそのゴミ箱を利用していくケースも多いです。結果として、自販機の周辺が空き缶や弁当の容器で散らかることもしばしば。
実際、夏場に売上が増えるほど、敷地内にゴミが散乱する頻度も増えました。アパートの管理状態としてマイナス評価につながりかねないため、近隣住民や入居希望者からの印象が悪くなるリスクもあります。
選択肢として「ゴミ箱だけ撤去する」ことも考えましたが、そうすると今度は利便性が下がり、空き缶がポイ捨てされる可能性も高まるというジレンマがありました。
自販機設置は入居付けに影響するか?
私自身、学生時代に住んでいたアパートに自販機があり、夜中に喉が渇いたときにとても重宝した記憶があります。そういう経験から、一定の層には「便利さ」として評価される可能性も否定できません。
ただし、自販機があるから入居を決めるという人はかなり少数派でしょう。逆に、上記のような景観悪化や騒音トラブル(深夜の稼働音など)によって、マイナス要因になることもあり得ます。
入居付けに直接影響を与えるほどの「差別化要素」とは言い難いのが正直なところです。
最終的な判断はどうする?【1年経過後の評価】
私の物件では、自販機の契約期間が1年間とされていたため、このタイミングで「継続か撤去か」の判断を迫られています。
現時点での印象は「収支がトントン、またはマイナスの月もある」「景観管理に手間がかかる」「収益に対してメリットが小さい」という評価です。
2025年7月で契約からちょうど1年となるため、現状では撤去を前向きに検討しています。もし撤去する場合は、スペースを別用途に活用すること(バイク置場への転用など)も検討中です。
また、2棟目の管理会社の見直しも視野に入れており、自販機撤去のタイミングで一括で手を入れる可能性もあります。
自販機設置は「場所次第」。投資判断には慎重さが求められる
私のケースでは「継続は厳しい」と判断しましたが、もちろん立地や通行量、住民層によっては十分に採算が取れるケースもあると思います。
特に以下のようなケースでは、自販機設置のメリットが活きるかもしれません。
- 通行人が多く、近くにコンビニがない場所
- ファミリー層が多く、子どもの飲料需要がある
- 駅近で深夜帯も人通りがある
逆に、住宅街で交通量が少ない立地や、敷地に余裕がない物件では、導入にあまり期待しすぎない方が無難です。
まとめ|自販機収入は「小さな収益源」、過度な期待は禁物
不動産投資における自販機設置は、確かに「手軽に始められる副収入源」の一つではあります。ただし、実際には収益性・管理負担・景観問題など、事前に見落としがちなポイントも多く、慎重な判断が求められます。
私のように、既設の自販機がある場合は一度様子を見て判断するのも良いと思いますが、「収支の精査」「トラブル対応の可否」「物件全体への影響」などをしっかり検討することをおすすめします。
今後、2棟目のてこ入れを進める中で、自販機に代わる新たな収益改善策が見つかれば、また記事にまとめたいと思います!

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