5月末の米国債券の評価額と損益状況
2025年5月末時点の米国債券の評価額は 2,150,002円、評価損益は -763,386円 でした。
先月と比較すると -140,172円 と、大きく下落しています。

米国債券が2025年5月に下落した主な要因
FRBの利下げ期待が後退
2025年4月までは「年内に複数回の利下げがある」との見方が市場で支配的でした。しかし5月に入り、FRBメンバーから「インフレは依然として高水準で利下げは時期尚早」とするタカ派的な発言が相次ぎ、利下げ観測が大きく後退しました。
この結果、10年物国債をはじめとする長期金利が上昇し、債券価格は下落。金利と債券価格は逆相関にあるため、政策金利の高止まりが価格を圧迫した形です。
インフレ指標が市場予想を上回る
5月に発表された4月のCPI(消費者物価指数)やPCE(個人消費支出価格指数)が予想を上回り、インフレの鈍化が思うように進んでいないことが明らかになりました。
とくに、住宅費やサービス価格が高止まりしており、FRBとしても利下げのタイミングを慎重に見極めざるを得ない状況です。
このように、インフレ指標の粘着性は、米国債券にとって逆風となりました。
米国経済の底堅さが金利の高止まりを後押し
米国の雇用統計、小売売上高、サービス業PMIなどの経済指標が軒並み好調だったことも、金利が下がらない一因です。
強い経済=利下げ不要という構図が鮮明となり、債券価格の押し下げ圧力となっています。
米国の財政赤字と債券増発懸念
さらに、バイデン政権下での大型支出と高水準の財政赤字が続いている中で、米国債の増発による需給悪化懸念が台頭しています。
需給バランスが崩れると、価格はさらに下落しやすくなるため、機関投資家や海外投資家が様子見姿勢に転じていることも市場に影響を与えています。
米国債券の今後の展望
利下げ局面の到来は時間の問題
現在は利下げが遠のいたように見えますが、2025年後半〜2026年前半には利下げが始まると市場では予測されています。
債券価格は利下げを織り込んで先に上昇する性質があるため、いまの局面は「嵐の前の静けさ」とも言えます。
利回りはすでに魅力的な水準
10年債利回りは4.5%前後に達しており、金利収入(インカムゲイン)を得ながら回復を待つ戦略が取れる局面です。債券の本質は「満期まで保有することで元本が戻ってくる」ことですので、焦って損切りする必要はありません。
為替の円安が含み損を軽減する可能性も
為替市場では円安基調が続いており、ドル建て資産の価値が円換算で目減りしにくい状況です。
米国金利が高い状態が続く限り、ドル高・円安の流れも継続する可能性が高く、為替による補填も期待できます。
いま取るべき投資戦略
債券は焦らずホールドが基本
米国債券をいま売却すれば、約26%の損失が確定します。しかし、高利回りの債券を保有し続けることで、長期的に損失を回収できる可能性も高いです。
投資信託や債券ETFでの積立投資を継続している方も、タイミングを見て買い増しをするのではなく、まずはホールドを続けるのが現実的でしょう。
あるいは資金に余裕がある場合はナンピン買いをしても良いかもしれません。
短期債との組み合わせも有効
変動が少ない短期債を一部組み合わせることで、債券全体の価格変動リスクを抑えることも可能です。
また、米国債に限らず、MMFや短期ドル建てファンドを通じてキャッシュポジションを高める戦略も選択肢に入ります。
まとめ|米国債券の下落は一時的、回復の兆しは見えている
2025年5月に起きた米国債券の下落は、利下げ期待の後退やインフレの粘着性、米経済の強さなど、複数の要因が重なった結果です。
しかし、長期的には必ず利下げ局面は到来し、債券価格は上昇するタイミングが訪れるはずです。
含み損に耐える局面ではありますが、焦らずホールドを続け、将来の金利低下局面での価格回復をしっかりと狙っていきましょう。
(番外編)SBI証券での米国債券の評価額の確認方法
SBI証券を利用している方の中には、「口座サマリー画面の債券価格が全く変わらない」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
実は、SBI証券の口座サマリー画面では購入時の債券価格が固定表示されており、時価評価額が反映されない仕様 になっています。
そのため、「評価損益が動かない」と勘違いしてしまうことがよくあります。
では、どうやって実際の評価額や損益を確認すればいいのでしょうか?
🔹 確認方法
- SBI証券の口座サマリー画面で、該当の債券を探す
- 「現売」ボタンをクリック
- 現在の市場価格(時価単価)および最新の時価評価額が表示される
この方法を使えば、現在の正確な損益を把握できる ので、誤った判断をせずに済みます。
特に、マネーフォワードなどの家計簿アプリを連携している方は注意が必要です。
マネーフォワードではSBI証券の口座サマリー情報をそのまま参照しているため、実際の評価損益と異なる数字が表示される可能性が高い です。
債券の売却を検討する際には、必ず「現売」ボタンから最新の評価額を確認するようにしましょう!

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