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収入・総所得・課税所得・税金の関係を徹底解説

資産運用全般

はじめに

税金計算において、「収入」「総所得」「課税所得」「所得税」「住民税」の関係は非常に重要ですが、仕組みが複雑で分かりづらいと感じる人も多いのではないでしょうか。本記事では、それぞれの違いを明確にし、どのタイミングでどの控除や経費が適用されるのかをわかりやすく解説します。

複数の所得がある場合の税金計算の流れは以下のとおりですが、順番に説明していきます。
┌──────────────────┐
│ 収入(総収入)             │ ← 給与収入 + 不動産収入 + 事業収入
└──────────────────┘

▼(給与所得控除・必要経費を差し引く)
┌──────────────────┐
│ 総所得(手当等の判定基準などに利用   │ ← 給与所得 + 不動産所得 + 事業所得
└──────────────────┘

▼(基礎控除や各種控除を差し引く)
┌──────────────────┐
│ 課税所得                │ ← 税率をかける所得
└──────────────────┘

▼(税率を適用)
┌──────────────────┐
│ 所得税                 │ ← 国に納める税金
└──────────────────┘

▼(住民税の計算)
┌──────────────────┐
│ 住民税                 │ ← 地方自治体に納める税金
└──────────────────┘

収入とは?

収入(額面収入)は、給与や不動産収入、事業収入などの総額を指します。主な収入源として以下の3つがあります。

  • 給与収入:会社から受け取る給与・賞与など
  • 不動産収入:賃貸物件からの家賃収入
  • 事業収入:自営業や副業による売上収入

総所得とは?

総所得は、収入から各種控除・経費を引いた後の金額です。

総所得の計算方法

収入の種類控除・経費
給与収入給与所得控除
不動産収入不動産経費(修繕費・管理費・減価償却費など)
事業収入事業経費(仕入れ・広告費・通信費など)

これらを差し引いた後の金額が総所得となります。同じ控除という名前でも基礎控除や社会保険料控除はこのタイミングでは差し引かないのがポイントです!給与所得控除はサラリーマンの必要経費の位置づけなのでこのタイミングで差し引くということで覚えておけばよいと思います。

総所得の用途

総所得なんて出さずに一気に課税所得まで計算した方が早いと思われるかもしれませんが、総所得は、各種手当や補助金の所得制限の基準として使用されることが多く、例えば以下の制度で活用されます。(所得税や住民税の計算のためだけであれば、一気に課税所得まで計算しても良いと思います。)

① 課税所得の計算(税金計算の基礎)

総所得は「課税所得」を求める際のベースになります。これは次の章でもご説明しますので詳細は割愛します。


② ふるさと納税の上限額の計算

ふるさと納税の上限額は「総所得(正確には所得控除前の所得)」を基準に決まります。

例えば、総所得が500万円の会社員の場合、控除上限額の目安は
約6〜8万円 となります(家族構成や社会保険料による)。

この計算には、総所得が直接関わるため、収入ではなく総所得を確認する必要があります。


③ 配偶者控除・扶養控除の判定

配偶者控除や扶養控除が適用されるかどうかは、扶養される人(配偶者や子供)の総所得で判定されます。

【例:配偶者控除の条件】
  • 配偶者の 総所得48万円以下 → 配偶者控除の対象(控除額38万円)
  • 配偶者の 総所得48万円超 〜 133万円以下 → 配偶者特別控除の対象(段階的に減額)

つまり、配偶者の「収入」が103万円以下ならOKと思われがちですが、実際は
「総所得(=収入 - 給与所得控除)」を基準に判定されます。

例:パート収入103万円の配偶者の場合

  • 収入:103万円
  • 給与所得控除:55万円(※2025年時点)
  • 総所得:103万円 - 55万円 = 48万円(→ 配偶者控除の対象)

収入103万円ではなく、総所得48万円が基準となる点が重要です。


④ 国民健康保険料・介護保険料の計算

会社員は給与から健康保険料が天引きされますが、自営業者や退職者国民健康保険料を支払います。

この保険料は、前年の総所得を基に決定されます。
つまり、前年の総所得が高いほど保険料も高くなります。

【国民健康保険料の算定例】(東京都23区)
  • 総所得200万円 → 年間保険料 約20万円
  • 総所得400万円 → 年間保険料 約50万円

総所得が直接、保険料に影響するため、節税で総所得を抑えることが保険料負担軽減につながります。

⑤ 医療費控除の計算

こちらのブログでも紹介しましたが、医療費控除は以下の計算式で算定します。

医療費控除額 = 支払った医療費の総額 – min(総所得金額×5%, 10万円)

課税所得とは?

課税所得は、総所得からさらに基礎控除や各種控除(扶養控除、社会保険料控除など)を差し引いた金額です。

課税所得の計算方法

課税所得 = 総所得 - 各種控除(基礎控除、扶養控除、社会保険料控除など)

この課税所得をもとに、所得税や住民税が計算されます。

税金の計算

所得税の計算

所得税は、課税所得に応じて累進課税方式で課税されます。

課税所得額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超〜330万円以下10%97,500円
330万円超〜695万円以下20%427,500円
695万円超〜900万円以下23%636,000円
900万円超〜1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超〜4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

住民税の計算

住民税は、一律で 「課税所得 × 10%(市町村民税6%、都道府県民税4%)」 の計算式で算出されます。

まとめ

本記事では、収入・総所得・課税所得・税金の関係性について解説しました。

  • 収入:給与収入・不動産収入・事業収入の合計
  • 総所得:収入から必要経費や給与所得控除を引いた金額(各種手当・補助金の計算基準)
  • 課税所得:総所得から基礎控除や扶養控除などを引いた金額(所得税・住民税の計算基準)

収入と税金の流れを理解することで、節税対策や所得制限の影響を把握しやすくなります。ぜひ自身の税金計算に役立ててください!

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