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区分マンション投資における家賃アップ施策と出口戦略 〜敷金・礼金・フリーレントの活用〜

不動産投資

前回のブログでは、区分マンションの三為契約による事業者からの販売価格は「家賃12か月分 ÷ 想定利回り」によって決まるという構造的な話をしました。

これは主に、販売対象となる物件に対して金融機関が設定する融資上限額がこの計算式で逆算されることによるものです。つまり、高い家賃で入居が続く物件ほど、高値で売却できる可能性があるということです。

この記事では、さらに一歩踏み込んで、「どうすればその家賃を上げられるのか」「どういう戦略で出口価格を上げるのか」を解説します。


家賃が安く設定されている物件を探すのが基本

まず一番シンプルな方法は、「相場家賃よりも安く賃貸されている物件を購入し、空室になったタイミングで相場家賃に引き上げる」というものです。

たとえば、以下のようなイメージです。

  • 現在の家賃:月8万円(相場:月9万円)
  • 想定利回り:5%
  • 現在の販売価格:96万円×12ヶ月 ÷ 0.05 = 約1,920万円
  • 家賃アップ後の販売価格:108万円×12ヶ月 ÷ 0.05 = 約2,160万円

このように、家賃が1万円上がれば、理論上の販売価格は240万円も上昇します。


相場家賃の物件でも上げる方法はあるのか?

しかし、そんな「家賃が相場より安い」物件はそう簡単に見つかるものではありません。では、既に相場家賃で賃貸されている物件の家賃をさらに上げる方法はあるのでしょうか?

その答えの一つが、「初期費用を下げて、家賃を高く設定する」という逆転の発想です。


初期費用で差をつけて、家賃アップを狙う

同じマンション内の部屋であっても、

  • 敷金・礼金を取っている部屋
  • フリーレントがついていない部屋

が多い中で、自分の物件だけ

  • 敷金・礼金ゼロ
  • 1ヶ月フリーレント付き

とすれば、月額家賃を高く設定しても選ばれやすくなる可能性があります。

たとえば、同じ物件での事例を見てみましょう。


【ケーススタディ】

  • エリア:東京都内
  • 相場家賃:9万円
  • 自分の設定家賃:9.5万円
  • 敷金礼金:ゼロ(他は1ヶ月ずつ必要)
  • フリーレント:1ヶ月

この場合、借主から見た「入居コスト」は以下の通りです。

条件他物件自物件(本物件)
敷金9万円0円
礼金9万円0円
初月家賃9万円0円(フリーレント)
合計初期費用27万円0円

つまり、入居者からすると「初期費用ゼロで入れるのに、ちょっと家賃が高いだけ」という選択肢になります。

このようにして、少し高い家賃設定でも初期費用インパクトを与えることで差別化が可能です。


出口価格と初期費用のバランス

そしてここが最も重要なポイントですが、この家賃アップによる出口価格の上昇が、初期費用の持ち出しを上回れば「利益」になるということです。


【シミュレーション】

  • 家賃アップ:9万円 → 9.5万円(月額5,000円アップ)
  • 想定利回り:5%
  • 販売価格差
    • 9万円 × 12 ÷ 0.05 = 2,160万円
    • 9.5万円 × 12 ÷ 0.05 = 2,280万円
      差額:120万円
  • フリーレント1ヶ月:持ち出し 9.5万円
  • 敷金・礼金なし:差額負担 18万円(仮に通常1ヶ月ずつとした場合)
  • 合計コスト:約27.5万円

つまり、約27万円の一時負担で、120万円の出口価格上昇が見込めるという話です。

この差額は単純に利益になります。


タイミングは「長期譲渡」になる5年経過後が理想

ただし、この施策を行うタイミングにも注意が必要です。

区分マンションを個人名義で所有している場合、5年以内の売却は「短期譲渡」となり、税率が高くなります(39.63%程度)。

一方、5年以上保有すれば「長期譲渡」となり、約20%程度で済みます。

つまり、保有開始から5年以上経過し、売却間近のタイミングで家賃アップ施策を打つのが最も効率的です。


家賃アップのための“初期費用施策”は他にもある

敷金・礼金ゼロやフリーレント以外にも、以下のような“工夫”が考えられます。

  • Amazonギフト券プレゼント
     → 1万円〜2万円分のギフト券を渡すことで、家賃の割高感を打ち消す
  • 家電プレゼント(テレビ・電子レンジなど)
     → 一人暮らし向けに家電をセットすることで物件の魅力を底上げ
  • Wi-Fi無料をつける
     → 月額3,000円程度の負担で家賃を1,000円高くしても魅力的

これらの施策は、初期費用や実質コストを一部負担する代わりに、月額家賃の上昇によって出口価格を引き上げることができる手法です。


どんな物件でも通用するわけではない

注意点として、このスキームが使えるのは銀行融資が通る“築年数の範囲内”の物件に限られるという点です。

一般的に金融機関は、区分マンションの融資審査において築30年程度までを対象とします。事業者が保有期間を5年〜10年見込むとすると、築15年〜20年あたりの物件が最もバランスが良いと言えるでしょう。


まとめ

区分マンションの出口価格は、「家賃12か月分 ÷ 想定利回り」で決まる構造を逆手に取り、「どうやって家賃を上げるか」に注力すれば、大きな価値上昇が見込めます。

そしてその家賃アップは、敷金・礼金・フリーレントなどの初期費用調整や、家電・ギフト券といった施策によって十分に実現可能です。

重要なのは、「出口直前」でこの施策を打つこと。そして個人であれば「5年超の長期譲渡」タイミングを見極めることです。

賢い出口戦略の一環として、ぜひこの方法も選択肢に加えてみてください。

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