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【保存版】不動産投資のIRR・NPV完全解説:具体例で学ぶ収益性分析2024

不動産投資

1. IRR・NPVが不動産投資の判断に重要な理由

不動産投資では、表面利回りや実質利回りがよく使われますが、これらの指標だけでは中長期的な収益性を正確に判断できません。なぜなら:

  • 時間の経過による資金の価値変化を考慮していない
  • 将来の修繕費用や売却時の価値を反映していない
  • 税金の影響を適切に評価できない

そこで必要になるのが、IRRとNPVによる分析です。

2. IRR(内部収益率)とは?

2-1. IRRの基本概念

IRR(Internal Rate of Return)は、投資における収益率を年率換算で表した指標です。具体的には:

  • 投資の将来キャッシュフローを現在価値に換算したときに、現在の投資額とちょうど等しくなる割引率
  • 投資の収益性を年率(%)で表現できる
  • 他の投資商品(株式、債券など)との比較が容易

2-2. IRRのメリット

  • 時間の経過による資金の価値変化を考慮できる
  • 将来の不確実性を数値化できる
  • 異なる投資案件の比較が容易

3. NPV(正味現在価値)とは?

3-1. NPVの基本概念

NPV(Net Present Value)は、将来得られる収益を現在の価値に換算し、初期投資額との差額を示す指標です。

  • プラスの場合:投資価値あり
  • マイナスの場合:投資を再検討

3-2. NPVのメリット

  • 投資の絶対的な価値が分かる
  • 複数の投資案件の比較が可能
  • リスクの定量化が容易

4. 具体例で学ぶ:不動産投資のIRR・NPV計算方法

4-1. 計算に必要な情報

実際の不動産投資を想定した例を見てみましょう。

物件概要:

  • 購入価格:5,000万円
  • 自己資金:1,500万円
  • 借入金:3,500万円(金利2%、35年返済)
  • 想定家賃収入:月額30万円
  • 経費(管理費等):家賃の20%
  • 保有期間:10年
  • 売却想定価格:4,000万円

4-2. IRRの計算手順

Step 1: 年間キャッシュフローの計算

各年のキャッシュフローを以下のように算出します:

基本の年間収支:

収入:
家賃収入:360万円(30万円×12ヶ月)

支出:
- ローン返済:約120万円/年(元利均等返済)
- 経費:72万円(360万円×20%)
- 修繕費:10万円(1年目。以降毎年3万円ずつ増加)

1年目の実質キャッシュフロー:
360万円 - 120万円 - 72万円 - 10万円 = 158万円

Step 2: 10年間の詳細なキャッシュフロー予測

初期投資(0年目):-1,500万円(自己資金分)

1年目:+158万円
2年目:+155万円(修繕費増加)
3年目:+152万円
4年目:+149万円
5年目:+146万円
6年目:+143万円
7年目:+140万円
8年目:+137万円
9年目:+134万円
10年目:+4,131万円(通常CF 131万円 + 売却収入 4,000万円)

Step 3: IRR計算結果

上記のキャッシュフローに基づくIRRは、9.32% となります。

これはエクセルのIRR関数で以下のように計算できます:

IRR=({-1500, 158, 155, 152, 149, 146, 143, 140, 137, 134, 4131})

4-3. NPVの計算手順

Step 1: 割引率の設定

  • 割引率:4%(リスクフリーレート+リスクプレミアム)

Step 2: 各年のキャッシュフローを現在価値に割引

0年目:-1,500万円
1年目:158万円 ÷ (1 + 0.04)^1 = 151.9万円
2年目:155万円 ÷ (1 + 0.04)^2 = 143.3万円
3年目:152万円 ÷ (1 + 0.04)^3 = 134.9万円
4年目:149万円 ÷ (1 + 0.04)^4 = 127.0万円
5年目:146万円 ÷ (1 + 0.04)^5 = 119.5万円
6年目:143万円 ÷ (1 + 0.04)^6 = 112.4万円
7年目:140万円 ÷ (1 + 0.04)^7 = 105.7万円
8年目:137万円 ÷ (1 + 0.04)^8 = 99.3万円
9年目:134万円 ÷ (1 + 0.04)^9 = 93.3万円
10年目:4,131万円 ÷ (1 + 0.04)^10 = 2,762.7万円

Step 3: NPV計算結果

すべての現在価値の合計:

NPV = -1,500 + 151.9 + 143.3 + 134.9 + 127.0 + 119.5 + 112.4 + 105.7 + 99.3 + 93.3 + 2,762.7
= 2,350万円

この物件投資のNPVは 2,350万円 となります。

エクセルのNPV関数を使用する場合:

NPV=(0.04, {158, 155, 152, 149, 146, 143, 140, 137, 134, 4131}) - 1500

4-4. 計算結果の解釈

IRRについて:

  • 算出されたIRR:9.32%
  • 一般的な不動産投資の期待収益率(5-8%)を上回っている
  • 金融機関の貸出金利(2%)を大きく上回っている
  • レバレッジ効果により、自己資金に対する収益率が高くなっている

NPVについて:

  • 算出されたNPV:2,350万円
  • 大きくプラスの値となっており、投資価値は十分にある
  • 初期投資額(1,500万円)を上回る価値創造が期待できる
  • 割引率を4%と設定しても十分な余裕がある

5. 実践的な活用方法とチェックポイント

5-1. 現実的な数値設定のポイント

収入面:

  • 空室率の考慮(通常5-10%)
  • 家賃の段階的な下落(年1-2%)
  • 売却時の価格下落

支出面:

  • 経年による修繕費の増加
  • 固定資産税の変動
  • 金利上昇リスク

5-2. 判断基準の目安

IRRの評価基準:

  • 8%以上:非常に良い
  • 5-8%:良い
  • 3-5%:要検討
  • 3%未満:再検討が必要

NPVの評価基準:

  • 大きくプラス:積極的な投資検討
  • わずかにプラス:慎重な検討
  • マイナス:原則見送り

5-3. 実践的なチェックポイント

  1. 感度分析の実施
    • 家賃下落のケース
    • 金利上昇のケース
    • 修繕費増加のケース
  2. リスク要因の考慮
    • 立地による価格変動リスク
    • 建物の経年劣化
    • 周辺環境の変化
  3. 税金の影響
    • 減価償却費の効果
    • 売却時の税金
    • 固定資産税の変動

まとめ:IRR・NPVを活用した投資判断のコツ

不動産投資の収益性判断において、IRRとNPVは必須の指標です。ただし、以下の点に注意が必要です:

  1. 将来予測は保守的に
  2. 複数のシナリオで計算
  3. 定期的な見直しと修正

これらの指標を適切に活用することで、より確実な投資判断が可能になります。

よくある質問(FAQ)

Q1: IRRとNPVはどちらを重視すべき?
A1: 両方を見ることが重要です。IRRは収益率、NPVは絶対額を示すため、補完的に活用しましょう。

Q2: 計算は難しいですか?
A2: エクセルの関数を使えば簡単です。重要なのは、入力する数値の設定です。

Q3: 計算頻度はどのくらいが適切?
A3: 購入検討時は必須で、その後も年1回程度の見直しをお勧めします。

この記事は2024年2月時点の情報に基づいています。不動産市況や金利環境は変動する可能性がありますので、実際の投資判断の際は最新の情報をご確認ください。

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