はじめに
田舎にある農地の売却は、思っていた以上にハードルが高く、価格設定ひとつで問い合わせ数が大きく変わることを実感しています。今回、これまでの価格設定を大幅に見直し、坪単価3万円→1万円、売値3000万円→800万円という、大胆な変更を行った結果、1週間で3件の問い合わせが入りました。
この反響の変化から読み取れること、今後の売却戦略、そして最終的に必要となる譲渡税や売却手続きのポイントまで、実体験ベースでまとめてお伝えします。
※前回の進捗報告は以下の記事をご覧ください。
👉 【農地売却進捗vol.9】農地価格での売却提案とその後
価格改定の背景と狙い
これまでの販売価格は坪単価約30,000円、総額3,000万円という設定でしたが、地元の不動産会社や周辺事例を調査していく中で、「これは正直言って高すぎたのではないか」との認識に至りました。
なぜ高すぎたのか?
- 地元の需要と乖離していた
- 農地のままでの利用想定だと収益性が低い
- 転用には大きなハードルがあり、買い手側にリスク
このような要因が絡み、高すぎる価格設定が買い手を遠ざけていたことが明白になりました。
新価格:坪単価1万円・売値800万円に設定
そこで思い切って、坪単価10,000円、売値800万円に価格を見直しました。これは周辺農地相場に合わせた価格で、実需層にもアプローチしやすくなったと考えています。
この価格に対する反応
- 公開から1週間で3件の問い合わせ
- すぐに成約とはなっていないが、関心は明らかに増加
- 不動産会社からも「やっと市場にマッチしてきた」との声
明らかに反応が変わったため、これまでの価格がいかに非現実的だったかを痛感しています。
今後の交渉と見込み売却価格
もちろん、ここからさらに値下げ交渉が入ってくる可能性は高いです。
とはいえ、現状の800万円という価格も、最終売却価格としては「やや強気」に設定しており、最終的には500〜600万円程度での売却も視野に入れています。
「できるだけ早めに売ってしまいたい」という思いもある中で、以下のようなスタンスを取る予定です。
- 初回交渉にはやや応じる(10〜20%程度)
- 大幅な値下げ要求には慎重に対応
- 複数の問い合わせが重なった場合は“競争原理”を活用
買い手の真剣度を見極めつつ、冷静に交渉していくつもりです。
売却時の譲渡所得税に注意
仮に農地が600万円で売却できたとしても、売却益には譲渡所得税がかかる点に注意が必要です。
譲渡所得の基本計算式
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
- 取得費:購入時の価格が不明な場合、概算で売却価格の5%とみなされる(※いわゆる「概算取得費」)
- 譲渡費用:不動産仲介手数料や測量費、登記費用など
例えば、取得費不明・譲渡費用が50万円と仮定した場合:
600万円-(30万円+50万円)= 譲渡所得520万円
この場合、所有期間に応じて課税されます。
所有期間 | 税率(所得税+住民税) |
---|---|
5年以下 | 約39%(短期譲渡) |
5年超 | 約20%(長期譲渡) |
所有期間が5年を超えていれば、長期譲渡の扱いになり節税効果が期待できます。
農地売却時に必要な手続き
売却が決まりそうになったら、以下の手続きが必要となります。
① 農地法第3条または5条の許可
- 農地として売る:第3条許可
- 転用を前提に売る:第5条許可
② 境界確認・測量
買主側が住宅建築や転用を考えている場合、境界の明示が求められます。
③ 登記の名義変更手続き
- 法務局での所有権移転登記
- 登録免許税も発生(固定資産税評価額×2%)
④ 不動産仲介手数料の支払い
仲介業者が介在している場合は、売却価格×3%+6万円+消費税の仲介手数料が必要です。
⑤ 譲渡所得税の申告
売却翌年の確定申告で譲渡所得を申告。確定申告を忘れると追徴課税のリスクがあるので要注意です。
売却完了までの心構えと次のステップ
田舎の農地は、「持っているだけで固定資産税がかかる」「使い道がない」「買い手が見つからない」など、さまざまな悩みがつきまといます。
そのため、多少価格を妥協してでも早期に手放すという選択は合理的だと考えています。
今後のアクションプラン
- 問い合わせがあった買主候補との面談
- 希望価格に近いオファーがあれば早期決断
- 売却益の税務処理も含めて手続きをスムーズに進行
不動産会社にも引き続き状況報告を求めながら、最良のタイミングで売却を実現したいと思っています。
まとめ
- 価格設定は需要に合わせることが重要
- 反響がない=市場からズレている証拠
- 売却益には譲渡所得税が発生する
- 売却時の手続きは農地特有のハードルがある
- 値下げ交渉を見越して価格設定をしておくのが現実的
「売れない農地」を「売れる農地」に変えるためには、現実を見据えた価格戦略と、売却時の手続き知識が欠かせません。
今後も引き続き進捗を報告していきます。


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